会長挨拶:日本スポーツ教育学会第45回学会大会開催に際して

一般社団法人 日本スポーツ教育学会
会長 岡出 美則(日本体育大学)

 日本スポーツ教育学会第45回学会大会開催に際して、開催にご尽力いただきました東京学芸大学実行委員会の皆様並びに学会研究企画委員会、国際交流委員会の皆様にまずは、感謝の意をお伝えしたいと思います。

 本学会がスタートしてから45年。この間にスポーツを取り巻く環境や条件は、国内外でずいぶん変わってきました。例えば、スポーツが社会を変革していく効果的なツールであるとの認識は、スポーツを通じた開発支援の取り組みを支えてきました。ここでは、包摂、公正、平等、貧困、ジェンダー等多様な社会的課題の解決に向けた取り組みが継続されてきました。この流れの中で最近、IOC初の女性会長が就任し、JOC並びに日本陸上競技連盟に初の女性会長が就任しました。また、プロのスポーツは学校体育のモデルになり得ないとの指摘はすでに2000年代初期からはっきりと見られました。そのため、スポーツの質そのものを高める取り組みが進められてきました。この流れの中では、体育の授業が社会やスポーツを変えていく可能性に関する提案もアセアン内で進んでいます。

 この背景には、スポーツの価値を高める継続的な取り組みやエビデンスベースの研究の蓄積がみられました。このような取り組みでは、エビデンスに基づく提案が求められます。信頼できるエビデンスの蓄積は地道な作業です。加えて、蓄積された知見を広く社会に還元することは、地味な、しかし時間を要するものといえます。

 学会大会は、このようなエビデンスを互いに紹介し合い、伝え合う機会と言えます。参加者の皆さんの積極的なご参加をお願いできれば幸いです。 

45回大会 実行委員長挨拶

第45回学会大会
第45回大会実行委員長:鈴木 秀人(東京学芸大学)

 この度、日本スポーツ教育学会第45回大会を、来る2025年10月25~26日の2日間にわたり、東京学芸大学で開催することとなりました。今回の大会は、東アジアスポーツ教育学会第13回大会と同時開催となりますので、日本国内はもちろん、国外からも多くのご参加を期待しております。

 大会は、第1日めにキーノートレクチャー、口頭発表、ポスター発表を、第2日めには口頭発表の後に、シンポジウムを予定しています。本学会会員の皆様だけでなく、学校体育関係者、スポーツ関係者、そしてスポーツと教育に関心をお持ちの様々な立場の方々と、議論を交わし、お互いの考えを深め、今後のスポーツと教育の発展に少しでも貢献できる知見を生み出せればと思っています。

 会場の東京学芸大学は東京の郊外に位置し、緑豊かなキャンパスが皆様をお迎えします。その前身は、戦前期に小学校教員の養成を担った師範学校です。師範学校は、手厚い奨学制度によって経済的に苦しい家庭から優秀な学生を選抜し、子どもたちを教えることに秀でた数多くの教師を輩出した一方、学問的基盤の不十分さから、国家の教育方針に従順に従う教師を生み出したという反省も、戦後なされています。

 そういった歴史を克服すべく、新制の大学として再出発し、学問研究に根差した教育実践の在り方を追究してきた本学を会場に、実りある研究の場が提供できればと考えています。実行委員会一同、多くの皆様方のご参加を心よりお待ち申し上げます。